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【定住者の子供】就労ビザは必要?次世代へのビザ継承とキャリア形成のリアル

  • 7月 6 2025
  • FESO

定住者の在留資格をお持ちの皆さん、日本でご自身の生活基盤を築き、お子様を育てていらっしゃる方も多いことと思います。お子様が日本で育ち、日本の学校を卒業し、やがて社会人になる時、「うちの子どもは、将来日本で働くときに就労ビザは必要なの?」と疑問に感じることはありませんか?

「親が定住者だから、子どももビザなしで働ける?」 「日本の大学を出たら、就労ビザはもらいやすい?」

このような疑問は、お子様の将来を真剣に考える親御さんにとって、とても重要な関心事でしょう。

この記事では、定住者の在留資格を持つ親を持つお子様が、将来日本で就職する際にどのようなビザの選択肢があるのか、あるいは就労ビザが不要となるケースがあるのか、そのリアルな状況とキャリア形成への影響について、行政書士の視点から詳しく解説します。

 

1. 「定住者の子」が日本で働く際の基本的な考え方

まず、基本的な考え方からお伝えします。

お子様が「定住者」の在留資格を持つ親に扶養されている場合、お子様自身も多くの場合、「定住者」の在留資格を取得(または「家族滞在」から「定住者」への変更)しているでしょう。

この「定住者」の在留資格は、原則として就労活動に制限がありません。つまり、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」のような特定の職種や活動に限定されることなく、どのような職種・業種にも就くことが可能です。

これは、外国人にとって非常に大きなメリットであり、お子様が将来のキャリアパスを自由に選択できる大きな強みとなります。

 

2. 「定住者の子」は就労ビザが「不要」?その条件とリアル

はい、多くの場合、「定住者の子」は、親と同じ「定住者」の在留資格を持っているため、就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務)を改めて取得する必要はありません。

これは、在留資格「定住者」が、法務大臣が特別な理由を考慮して日本での居住を認めるものであり、その活動内容に制限が設けられていないためです。お子様が日本で小学校、中学校、高校、大学、専門学校を卒業し、就職する場合でも、親と同じ「定住者」の在留資格のまま働くことができます。

ただし、注意すべきポイント

「就労ビザが不要」というのは非常に有利ですが、以下の点には注意が必要です。

  • 定住者としての在留資格の維持: お子様自身が、定住者としての在留期間をきちんと更新し続ける必要があります。親が定住者だからといって、お子様の在留資格が自動的に安泰というわけではありません。
    • 在留期間更新の際には、お子様自身の素行(交通違反の有無など)や、日本での生活状況(学業成績、在学状況、納税・社会保険の状況など)が審査されます。
  • 「生活の本拠」が日本にあること: 親から独立して生活するようになった場合でも、日本に生活の本拠があることが継続して求められます。海外に長期間滞在する場合は、再入国許可のルールに注意が必要です。
  • 親が永住者になることのメリット: もし親御さんが永住者になった場合、お子様は定住者のなかでも「永住者の子」という特別なカテゴリーとなり、ビザの安定性がさらに高まります。これは、将来的なお子様の永住申請にも有利に働く可能性があります。なお、親御さんと同時に永住者申請を行うことも、お子様が条件を満たす限り可能です。

 

3. 日本で育った「定住者の子」が持つキャリア形成上の強み

日本で育ち、日本の教育を受けた「定住者の子」は、日本の労働市場において非常に大きな強みを持っています。

(1) 高い日本語能力と日本社会への適応力

  • ネイティブに近い日本語能力: 小学校から日本の学校に通っていれば、日本人とほとんど変わらない、あるいはネイティブレベルの日本語能力を身につけているでしょう。これは、就職活動において大きな武器となります。
  • 日本文化・商習慣の理解: 日本の学校生活や友人関係を通じて、日本の文化や社会のルール、ビジネスにおける商習慣を自然と身につけています。これにより、日本人社員ともスムーズにコミュニケーションを取り、協力して働くことができます。

(2) 多文化的な視点と国際性

  • 独自の視点: 親の母国の文化や言語、そして日本で育った経験から、物事を多角的に捉えることができます。これは、グローバル化が進む現代社会において、企業が求める貴重な能力です。
  • 母国語能力: 日本語以外にも、親の母国語を話せる場合は、その言語能力も大きな強みとなります。特に、日本と母国の間でビジネスを展開する企業にとっては、非常に価値のある人材です。

(3) キャリア選択の自由度の高さ

  • 職種・業種の選択肢の広さ: 就労ビザのように特定の職種に限定されないため、自分の興味や適性に合わせて、幅広い分野の仕事に就くことができます。これは、日本の新卒採用市場で非常に有利に働きます。
  • 公務員への道も可能: 一部の公務員試験では日本国籍が条件となりますが、定住者の場合は国籍を変えずに応募できる公務員(地方公務員の一部など)もあります。これは、外国人にとっては特別な選択肢です。

 

4. 将来の永住申請への道筋 — 子どもが「永住者」になるために

お子様が将来、ご自身で「永住者」の在留資格を目指すことも十分に可能です。親が定住者である場合、お子様が永住申請をする際の条件が有利になる場合があります。

  • 「定住者」としての特例: 定住者である場合、お子様が日本に長く住み、安定した生活を送っていれば、一般的な永住申請の10年要件が5年に緩和され、比較的早く永住権を取得できる可能性があります。
  • 「独立の生計」の証明: 親から独立して自立した生活を送っていることや、安定した収入があることなどが求められます。
  • 公的義務の履行: 納税、社会保険料の納付など、日本のルールをしっかり守っていることが重要です。

お子様が日本で長く働き、貢献することで、永住者として認められる道は大きく開かれています。

 

まとめ:親の定住ビザは、子の未来を拓く大きな「パスポート」

定住者の在留資格は、親御さん自身の日本での生活を安定させるだけでなく、日本で育つお子様の将来のキャリア形成においても、非常に大きな意味を持つ「パスポート」となることがお分かりいただけたでしょうか。

お子様は、就労ビザに縛られることなく、自身の能力や夢に合わせて自由に職業を選択でき、日本人と同等レベルの日本語能力と日本社会への適応力、そして国際性を兼ね備えた、これからの日本社会に不可欠な人材となれる可能性を秘めています。

親御さんがお子様のビザの安定を願うならば、まずはご自身が定住者としての在留資格をきちんと維持し、将来的に永住権を取得することも視野に入れておくことが、お子様の未来をさらに確かなものにするための重要なステップとなります。

お子様の将来のビザやキャリアについて、具体的なご相談やご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に私たち行政書士にご相談ください。ご家族皆様の日本での幸せな未来をサポートさせていただきます。

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