①相談種別:帰化
②申請種別:普通帰化
③状況概要: ミャンマー国籍のアウン・サン(36歳)と申します。2013年から日本に住んでおり、在留資格は日本人の夫の生前に永住者に変更済みです。夫が昨年亡くなり、子供はいません。夫には両親や兄弟姉妹もおらず、都内の自宅マンションや預貯金など、夫の遺産をすべて私が相続しました。先日、相続税の納付も終わったところです。 夫の生前は専業主婦だったため、就労実績がありません。ですが、相続した資産で今後の生活には全く支障がない状況です。これからも日本で生きていきたいという思いが強く、就労意欲もあるので、帰化を希望しています。
④質問: これから就労して3年の実績を作らないと、帰化申請はやはり無理でしょうか?「資産による生計の安定性」や「今後の就労予定・生活設計」などを説明すれば、帰化申請の道は開かないでしょうか?また、「せめて1年の就労実績を作ってから」といった形で申請を試みるのはどうでしょうか?
アウン・サンさん、この度はご主人の逝去、心よりお悔やみ申し上げます。長年連れ添ったご主人を亡くされ、ご不安な中で今後の日本での生活と帰化をご検討のこと、心中お察しいたします。
結論から申し上げますと、就労実績がない専業主婦であっても、相続した資産を基に、帰化申請を行うことは十分に可能です。 帰化の要件である「生計要件」は、必ずしも就労収入だけで判断されるものではありません。
帰化の要件の一つに「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」があります。これは、申請者が日本で安定した生活を送ることができ、国や地方公共団体に頼ることなく生活していける経済力があるかどうかを判断するものです。
この「生計要件」は、以下のように総合的に判断されます。
アウン・サンさんの場合、就労収入の実績はないものの、ご主人の遺産を相続されたことで、「資産による生計の安定性」を強くアピールできる状況です。これは、帰化申請において非常に有利な要素となります。
はい、可能です。アウン・サンさんの場合、以下の点を証明することで、就労実績がなくても帰化申請の道は開けます。
アウン・サンさんの場合は、必ずしも就労実績を作ってから申請する必要はありません。
なぜなら、帰化の「生計要件」は、あくまで「資産または技能」で判断されるためです。潤沢な資産がある場合、就労して安定した収入があることと同等、あるいはそれ以上に安定した生計基盤があると評価される可能性があります。
もし、就労を開始してからの申請を検討する場合、安定した収入と納税実績を証明するのに一定の期間(通常1年以上)が必要となります。相続した資産による生計維持能力が十分であるにもかかわらず、そのために申請を遅らせる必要はないと考えることもできます。
ただし、「今後の就労予定」については、帰化申請の際に「将来の生活設計」として積極的にアピールすることをお勧めします。就労意欲があることは、日本社会に勤労と納税、保険料納付による相互扶助への参加など日本国民として日本国の構成員となり、将来の永きにわたって貢献する意思があることの証明となり、プラスに評価される可能性があります。勿論、この点は就労実績によるアピールに勝るものはありません。是非ご検討ください。
就労実績がないケースだからこそ、以下の点を最大限に準備し、慎重に対応する必要があります。
アウン・サンさん、就労実績がない場合でも、相続された多額の資産を基に、帰化申請を行うことは十分に可能です。
最も重要なのは、「資産による安定した生計」と「今後の日本での生活設計」を、客観的な証拠に基づき帰化の動機書で説明し、面接時の説明で明確に示すことです。
ご自身での申請も可能ですが、相続という特殊な事情が絡むため、提出書類に関する提出意図や説明を要すものを理由書などの補強資料として作成するには専門的なノウハウが不可欠です。ご不安な場合は、私たち行政書士のような帰化申請の専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
アウン・サンさんが日本で安心して生活し、日本国籍を取得できるよう、私たちも全力でサポートさせていただきます。