近年、日本で永住ビザを申請した外国人の間で、審査期間の長期化を実感する声が多く聞かれるようになりました。「以前は半年程度で結果が出たのに、今は1年以上待っている」「追加書類の提出を何度も求められ、なかなか審査が進まない」といったケースも少なくありません。
なぜ、永住ビザの審査は長期化し、厳格化しているのでしょうか?本稿では、その背景にあると考えられる要因を多角的に分析し、永住ビザ申請を検討している外国人の方々が今知っておくべき最新の審査状況と、今後どのような点に注意すべきかについて解説します。
以前と比較して、永住ビザの審査期間が明らかに長期化していることは、多くの申請者やサポートを行う行政書士などの専門家も指摘しています。数年前までは、申請から半年から1年程度で結果が出るケースが一般的でしたが、現在では1年以上の期間を要することも珍しくありません。中には、2年近く審査が終わらないという事例も報告されています。
この長期化は、申請者にとって大きな負担となります。将来設計が立てづらくなるだけでなく、在留資格の更新時期と重なる場合には、精神的な不安も増大します。また、企業に勤務している外国人にとっては、昇進や転職といったキャリアプランにも影響が出かねません。
永住ビザの審査期間が長期化している背景には、複合的な要因が考えられます。
近年、日本で就労や留学をする外国人の数は増加傾向にあり、それに伴い永住ビザの申請件数も増加しています。法務省入国管理局の統計を見ても、永住許可申請件数は年々増加しており、審査を行う側の処理能力を上回るペースで申請が積み上がっている可能性があります。
特に、高度人材ポイント制を利用した永住申請など、新たな申請ルートの導入も申請件数の増加に拍車をかけていると考えられます。
申請件数の増加に加え、審査自体が以前よりも厳格になっている可能性も指摘されています。これは、日本社会の安全・安心を確保する観点から、申請者の素行や経済状況、日本への定着性などをより慎重に判断するようになったためと考えられます。
具体的には、以下のような点がより厳しくチェックされる傾向にあると言われています。
申請件数の増加と審査の厳格化に対し、入国管理局の審査体制が十分に対応できていない可能性も考えられます。審査官の人数やシステムなどが、増加する申請件数と高度化する審査に対応しきれていない場合、審査期間の長期化傾向は避けられないでしょう。
また、もう一つの大きな要因として申請書類の不備や添付書類の不足など、申請者側のミスによって審査が滞ってしまうケースも多分にあると考えられます。
近年、国際情勢は複雑化しており、テロや国際犯罪のリスクも高まっています。このような状況下において、入国管理局がより慎重な審査を行うことは、日本の安全を守る上で必要な措置と言えるかもしれません。
永住ビザの審査が長期化・厳格化する傾向にある現状を踏まえ、今後申請を検討している外国人の方々は、以下の点に注意し、早めの対策を講じることが重要です。
永住ビザの申請には、多くの書類が必要となります。収集に時間がかかる書類もあるため、早めに準備に取り掛かりましょう。また、不備のない正確な書類を作成することが、審査をスムーズに進めるための最も重要なポイントです。
永住ビザの申請には、原則として継続して10年以上日本に在留していることが必要です。また、その間、就労資格や居住資格をもって安定した在留状況であることが求められます。
永住ビザの申請には、日常生活に支障のない程度の日本語能力が求められます。日本語能力試験(JLPT)N2以上の資格を持っていることが望ましいとされています。
地域社会との積極的な関わりは、日本への定着性を示す上でプラスに評価されることがあります。
永住ビザの申請は複雑な手続きを伴います。不安な点や不明な点があれば、早めに専門家である行政書士に相談することをおすすめします。
永住ビザの審査期間が長期化し、厳格化している現状は、申請者にとって厳しい状況と言えるかもしれません。しかし、その背景にある要因を理解し、早めに適切な対策を講じることで、スムーズな永住ビザの取得に繋がる可能性は十分にあります。
本稿で解説した注意点や対策を参考に、しっかりと準備を進めてください。そして、もし不安なことがあれば、遠慮なく専門家である行政書士にご相談ください。皆様の永住ビザ申請がスムーズに進むことを心より願っています。